第7章 「師匠にも譲れないこと」現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第7章 算盤と権利 その1】 〈Q〉『論語』の考え方には権利思想が欠けているのでは? 〈A〉広く『論語』の各章を訪ねていけば、権利思想がみなぎっている言葉をたくさん見出すことができる。 たとえば、「仁を実践するにあたっては、師匠にも譲らない」 この考え方は「正しい道理に進むならあくまで自分の主張を通してよい」ということであり、権利思想といえる...
第7章 「王道~思いやりの道~をただ歩むだけだ」 現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第7章 算盤と権利 その2】 〈Q〉みなが自分の権利や義務を主張して、何から何まで法律の裁きを仰ごうとすれば、どうなるだろう? 〈A〉みなの気持ちは険悪となり、人と人との間に壁が築かれて事あるごとに争いが起こり、一家(または会社)が仲良く一つにまとまることは望めなくなるだろう。 調和が出来上がれば権利や義務といった考え方は無意味となる。 金持...
第7章 「競争の善意と悪意」 現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第7章 算盤と権利 その3】 流出商売において注意すべき「競争の道徳」 競争とは勉強や進歩の母なのである。 2つの競争 良い競争 毎日人より朝早く起きて、よい工夫をして 知恵と勉強とで他人に打ち克っていく。 悪い競争 評判のよい他人のやり方を真似してかすめとつてやろうと考え、 横合いから成果をうばいとろうとすること。 悪い競争手段……道徳にかける...
第7章 「合理的な経営とは」 現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第7章 算盤と権利 その4】 現代(明治~大正)の実業界は本当に嘆き悲しむべきありさまだ。 当時の実業界の現状 悪徳重役のような人物・・・株主から託されている資産をまるで自分のもののように得て、好き勝手に運用して自分の利益にしようとする者。 伏魔殿のような会社内部・・・公私のケジメなく秘密の行動が盛んに行われるようになっていく。 〈速攻解決策〉...
第6章 「自分を磨くのは、理屈ではない」現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第6章 人格と修養 その3】 「修養」 自分を磨くこと。 ㊟理屈ではなく、実行すること 現実と学問との調和 例1「朱子」 儒教を研究し発達させた。 しかし、当時の宋王朝は政治も乱れ、兵力も弱く、儒教の効果が実際にあらわれなかった。 例2「徳川家康」 朱子の儒学を採用し、藤原惺窩(1561~1619)、林羅山(1583~1657)らを採用して、...
第6章 「自分を磨くことへの誤解」『論語と算盤』を図解入りで分かりやすく【第6章 人格と修養 その4】 〈Q〉自分を磨くことはその人の"自分らしさ"を傷つけるからよくないのでは? 〈Q〉自分を磨くとかえってその人の心がいじけてしまうのでは? 〈A〉この問いは、そもそも、自分を磨くことと、自分を飾り立てることを取り違えていませんか。 自分を磨くとは自分の心を耕し、成長させることです。「練習」「研究」「克己(こつき...
第6章 「実際に効果のある人格の養成法」現代語訳『論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳訳 各章まとめ【第6章 人格と修養 その5】 明治維新により西洋の文化を輸入するにつれ、道徳が酷く混沌とする時代状況になってしまった。現代(明治)の青年が、いまもっとも切実に必要としているのは、"人格を磨くこと"だ。 儒教……古臭い、理解できない キリスト教……一部の人だけで一般的ではない 新しい道徳は生まれていない 思想界は全くの混乱状態 国民……何を信じてよ...